アサヒビール中国
- 【業務内容】
- 中国におけるビールの製造・販売
- 【利用用途】
- 販促品管理システム
朝日啤酒(中国)投資有限公司は、中国で「アサヒスーパードライ」を製造・販売している。
これまでの販売先は日本料理店が中心だったが、バーや韓国料理、西欧料理などの外国料理レストランへも生ビールの提供を始めた。この事業拡大によって、急速に種類や取り扱いの増えた販促品の配送業務に「kintone(キントーン)」を活用している。
「kintone」導入の経緯や活用メリットについて、董事 総経理の西野昌男氏、営業企画部長の祈秀章氏、営業企画部の王娟氏、そして星崎冷熱機械(上海)有限公司(ホシザキ電機)日系特需部飲料机器課課長の陳軍氏にお聞きした。
「アサヒスーパードライ」といえば、日本では誰もが知るブランドだ。1997年に中国に進出した同社は、この知名度を活かし、日本料理店を中心に「アサヒスーパードライ」を提供してきた。
中国での「アサヒスーパードライ」は、スーパープレミアムの位置づけで、一般的に流通している中国のビールが一缶約3元(48円)のところ、スーパードライは約7元(112円)と、その価格差は2倍以上になる。しかしながら、日本と同じ、キレのある辛口と、クリーミーな泡のおいしさで、順調に販売量を増やしている。
当初ターゲットとしていた上海に住む日本人はおよそ5万人。学生や旅行客を合わせると、その数は、2倍にと言われているが、その先には世界一と言われる年間消費量5,000万キロリットルに上る中国のビール市場が広がる。巨大なビール市場でのさらなる飛躍を目指し、現在は外国料理店への営業活動を強化している。
「アサヒビールは日本料理店で強みを発揮できます。そこでおいしいビールを売ることが基本の活動です。生産量や販売量の拡大を考えていくときに、生ビールで差別化を図りたいと考えています。生ビールはどこで飲まれているかというと、バーや外国料理で飲まれています。そういった店舗にまだチャンスがあるのではないかと、活動を始めたところです。」(董事 総経理 西野氏)
営業企画部長の祈氏は、「今までのように日本料理店だけがお得意先だけであれば、今回のシステムもいらなかった。」と語る。 「日本料理店で必要な販促品は、生ビールのジョッキが3種類とポスターが5種類くらい。販促品の種類は両手に足りるくらいの数だったのですが、2012年からは外国料理レストランを新たに開拓しています。業態によって必要なものが異なるため、販促品の種類が100近くまで増えてきました。」(営業企画部長 祈氏)
飲食店で生ビールを取り扱うためには、ビールサーバーやビールジョッキ、グラス、店内に張り出すポスターなどの販促品が欠かせない。同社では、その販促品の在庫の保管と配送を、ビールサーバーはホシザキ電機に、その他のビールジョッキなどの販促品はヤマト運輸に、それぞれ委託している。
アサヒビールの営業マンは、契約が決まると各飲食店で必要な備品の配送を依頼するわけだが、これまではシステム化されていなかったため、メールやFAX、電話といった手段で連絡していた。こうした配送手配の仕組みでは、時間がかかるばかりではなく、ミスが生じてしまうこともあった。
発送履歴の管理が追いつかず、改善を決断。 また、事業を拡大する中で、業務の属人化への危機感も強まった。 「新しい業態に挑戦していますので、人もどんどん増やしています。飲食店様にいつ、誰が、どれだけの販促品を送ったのかが分からなくなってきました。誰もが一律に対応できる仕組みが必要でした。」(営業企画部長 祈氏)
これらの課題を解決するため、取引先飲食店のデータベースと販促品の配送依頼システムとして「kintone」を活用することになった。
1. 日本のシステム部の協力体制
日本本社の前向きな姿勢も、「kintone」の導入を後押しした。 「日本のシステム部門に『kintone』の導入について確認したところ、信用できるサービスなので、ぜひ挑戦して欲しいという前向きな返答がありました。」(営業企画部長 祈氏)
変化の激しい海外拠点においては、システムを活用した業務改革に取組むことが難しい場合も多くあるが、コストを掛けずにスピーディーに取り組める「kintone」なら、変化の激しいビジネス環境に柔軟に対応することができる。
2. 説明書や研修がいらないシステム
複数の企業、それもグローバル企業で利用することから、操作性の良さが求められた。「kintone」は、日英中の言語切り替えの機能が搭載されているため、母国語が異なるユーザー間で利用しやすい。また、直感的に操作できるインターフェイスに加えて、表示制御の仕組みをJavaScriptで開発することも可能なため、システムによって入力ミスを防ぐことができる。
「理想は、使い勝手の良い、説明書や研修がいらないシステムでした。誰もが簡単に使えて分かりやすいという視点で選定すると、『kintone』が一番良かったと思っています。」(営業企画部長 祈氏)
「操作は簡単です。パソコンが苦手な社員でも、2~3回くらい使えば覚えられます。さらに『kintone』は、導入後も簡単に修正することができるので、だんだん理想に近づいてきました。」(営業企画部 王氏)
現在、「kintone」で構築した販促品の配送依頼システムは、アサヒビールの営業マンと販促品の企画や管理を担当する営業企画部、そして取引先のホシザキ電機とヤマト運輸の担当者が利用している。
「kintone」の導入後、アサヒビールの営業マンは、「kintone」上で配送先の飲食店を選択し、必要な販促品の種類やその数量を登録するだけで、販促品が手配できるようになった。営業マネージャーが申請を承認すると、自動的に配送業務を委託しているホシザキ電機やヤマト運輸に出荷依頼通知が届く。
通知を確認したホシザキ電機やヤマト運輸が、翌日までに必要な販促品を届けてくれる仕組みだ。配送依頼から発送までの業務がシステム化されたことによって、販促品の配送業務に関わるメンバーの負担が減っただけではなく、配送の遅延や配送ミスもなくなった。
これを実現するためには、企業間でシステムを共同利用できる仕組みが欠かせなかった。
「ホシザキ電機さんとヤマト運輸さんとアサヒビールの3社で利用していますが、こういったシステムが理想だったので、実現できて本当に良かったと思っています。」(営業企画部長 祈氏)
配送を請け負うホシザキ電機・ヤマト運輸の協力を取り付ける必要があったが、両社にもメリットがあるため、説得はそれほど難しいことではなかったという。
「時間をかけて説得するよりも、実際に『kintone』で作ったアプリを見せながら説明すると、すぐに協力してもらえることになりました。」(営業企画部 王氏)
ビールサーバーの配送を担当しているホシザキ電機の陳氏も「『kintone』を使うと、大量の紙を保存する必要はなくなりました。前より便利ですし、操作も非常に簡単で、使いやすいですね。」と評価している。
販促品の管理に「kintone」を利用することで、思わぬ効果も現れた。 「今まで以上に営業マンのコスト意識が高まりました。『kintone』で作った販促品の配送依頼システムは、自分が何を申請すると、どれくらいの費用がかかるのかがその場ですぐに見られます。金額を計算してから申請するようになりました。」(営業企画部 王氏)
「販促品の手配時には、グラス10個が85元と、金額も画面に出てきます。数字を見せることによって人間は必ず意識が生まれてくると思います。」(営業企画部長 祈氏)
また、現場の営業マンが在庫状況を把握できるようになったことによって、中古のビールサーバーが活用されるようになった。新しいビールサーバーを購入するコストは、1台約5,000元(約9万円)。それに対して、中古のビールサーバーは倉庫に保管されているだけで、固定資産の償却が進む。
きちんとメンテナンスされた中古ビールサーバーの性能は、新品と遜色ない。資産を有効活用するためには、中古のビールサーバーを優先的に出荷することが重要だが、これまでは、中古のビールサーバーの在庫があるにも関わらず、新しいビールサーバーが出荷されることがあった。
「現場の営業マン一人ひとりが、もともとコスト意識を持っています。『kintone』を導入して在庫状況が明確になっただけで、中古のビールサーバーが積極的に活用されるようになりました。同じコストを掛けるにしても、飲食店様にできるだけ有用な販促品を提供するためには、中古のビールサーバーの稼働率を上げることは非常に大切なことです。」(営業企画部長 祈氏)
「kintone」の導入で、販促品の配送業務を改善したアサヒビール。より多くの場所で多くのお客様にうまい生ビールを提供するために、さらなる業務の効率化を進めたいという。 「『kintone』を導入してからは、何回かクリックをするだけで販促品が手配できて、確実に翌日にお店に届きます。無駄なストレスがなくなり、営業マンがより仕事をしやすくなりました。営業マンが本当に使わなければいけない時間は、飲食店様を獲得して、お客様に1本でも多く飲んでいただくための活動です。『kintone』はそのためのツールです。」(営業企画部長 祈氏)
「私たちは、お客様においしくビールを飲んでいただける環境を作っていきたいと考えています。これは日本でも他の国でも同様で、中国もその一つです。この大きい市場でおいしい生ビールを飲んでいただきたいと思っています。そのために、今後は『kintone』の活用範囲を広げ、業務を効率化したいと思います。」(董事 総経理 西野氏)
中国市場でのアサヒビールのさらなる飛躍を期待したい。(2014年3月取材)
お客様のコメント:「初めから日本でシステムを作るつもりはありませんでした。日本から出張者が何回か来て1~2回の相談で済ませることは難しいと思います。今回、サイボウズ上海の営業にたぶん10回以上来ていただきました。こちらの事情が分からない日本の会社がシステムを作ると、今回の2~3倍の時間がかかり、コストも高額になってしまったのではないでしょうか。」(営業企画部長 祈氏)
本動画に関する著作権をはじめとする一切の知的財産権は、サイボウズ株式会社に帰属します。
kintoneを学習する際、個人や社内での勉強会のコンテンツとしてご利用ください。
データを変形 ・加工せず、そのままご使用ください。
禁止事項
ビジネス資料や広告・販促資料での利用など
商用での利用は許可しておりません。