税理士法人 葵パートナーズ 様の導入事例

税理士法人 葵パートナーズ

【業務内容】
税理士業務
【利用用途】
顧客情報管理、社外スタッフ管理、FAQ、業務の進捗管理
  • 乱立していた複数のツールを統合し情報の一元管理を実現
  • 税理士業務に必要な業務基盤をkintoneで構築

愛知県を中心に営業を展開している税理士法人葵パートナーズでは、事業規模の拡大に合わせてメンバーが急増したことで、情報管理基盤を徹底するべく環境整備を計画。
顧客情報をはじめとした業務に必要な各種情報が一元管理できる基盤とともに、社員や外部スタッフの作業内容およびその進捗状況が把握できる仕組みをkintoneにて構築している。
業務基盤の中核としてkintoneを採用した経緯について、代表社員であり税理士の花田 一也氏にお話を伺った。

【課題】事業が拡大するなかで煩雑になる情報管理が課題に

記帳代行のみならず、バックオフィス業務も含めた顧問先支援に注力

愛知県名古屋市および知多市の2営業所にて事業を展開し、業種に特化することなく幅広い顧問先を経理の面からサポートしている税理士法人葵パートナーズ。

記帳代行のみならず、給与計算や勤怠管理、請求業務など、企業におけるバックオフィス業務全般を強力に支援しており、経理・事務代行の専門集団として顧問先の事業を下支えしている。

「中小企業ではバックオフィス業務を担う人材が限られており、何かあれば事業継続に関わる事態になることも。そんな中小企業の困りごとを我々のほうで支援するなど、経営の正常化に関するお手伝いをしています」と花田氏は語る。

代表社員・税理士 花田一也氏

また、在宅で働く多くのサービススタッフを抱えており、業務をシェアすることで社員の残業時間を抑制するなど、働き方改革に向けた取り組みも積極的に行っている。

何度も同じ情報を入力する…情報の一元化と業務の進捗管理に課題あり

そんな同社では、2011年に法人化して以来事業が急速に拡大しており、短期間のうちに社員や外部スタッフが急増、これまで数名規模であれば問題なかった情報管理が難しくなっていったと課題について言及する。

「チャットサービスやスプレッドシートなど必要に応じたソリューションを都度導入してきたことで情報が分散し、あるサービスに書き込まれた情報がほかのサービスに反映されないといった事態が起こることも。業務に支障が出てしまうため、まずは情報の一元管理を早急に実施しようと考えたのです」

また、社員や外部スタッフがどんな仕事を抱えているのか把握しづらくなってきたことも、情報基盤を整備する理由の1つになっていた。「担当者が業務を抱えてしまうことで、周囲からは何の業務に行き詰っているのか、臨時で請け負っている業務が個別にあるのかなどが分かりませんでした。だからこそ、周りから見ても業務の進捗が把握できるような仕組みが必要だったのです」と花田氏は説明する。

【導入】自分で開発できることで業務拡大にも柔軟に対応可能なkintone

実際に試していく中で挫折しなかったkintone

そこで新たな基盤を検討するなかでいろいろなサービスを試験的に試した結果、花田氏の目に留まったのがkintoneだった。「システム専任者が不在のため、クラウドサービスであることが大前提で検討しました。実際にお試しできるものは海外のサービスも含めていろいろ触ってみたところ、非常に簡単にアプリが作れそうだったのがkintoneだったのです。初期設定だけで挫折するサービスが多いなか、感覚的に設定も可能ですぐに使えそうな印象でした」

もちろん、クラウドサービスだけに、セキュリティに関しても意識したという。ただし、素人だけにセキュリティの善し悪しの判断は難しい部分もあったため、多くの実績がありブランド力を持つサービスであることを重視したという。

自分でアプリ作成できることが重要な視点に

また外部に委託せずとも自分たちで構築できる点も大きく評価したポイントだ。「バックオフィス業務の代行を請け負う前提でいえば、新しい業務にも対応することが求められます。確かに業務に特化したサービスはありますが、結局カスタマイズが困難なものばかりで、新たな業務に対応しづらいものが多かった」と花田氏。

たとえ社内に開発者を雇用しても、その人材に依存してしまうことになり、外部に開発を委託しても不安定な状態は変わらない。「自分で構築したりカスタマイズしたりできるものが欲しかったのです」

「自分でカスタマイズできるものが欲しかった」

情報管理の基盤を前提に考えると、データベース的な活用が可能な仕組みも念頭に置いていたという。「情報の一元管理が大きな課題だったため、全ての顧客情報を集約し、必要な情報だけ切り出していけるような仕組みを構築しようと考えていました」

規模が小さければスプレッドシートでも運用は可能だが、使う人が増えてくればスキルに差が生じ、勝手に手を入れてしまう人も出てきてしまう。kintoneであれば必要な枠を用意し、必須項目を入力しないと次にいけないといった仕組みも作りやすい。スプレッドシートだと情報が歯抜けになってしまうことにもなりかねません」と花田氏。kintoneであれば誰にでも入力しやすい画面が用意できるため、現場でも十分運用できると考えたという。

【効果】情報の一元管理を実現、様々な業務をkintoneに集約

顧客情報管理と社外スタッフ管理を中心に必要な業務をアプリで実装

現状は、顧客情報の管理をはじめ、外部に業務を委託している社外スタッフ管理を中心にアプリを作成、運用しており、備品の購入申請や問い合わせ管理はもちろん、月次の経理業務支援や年次の決算業務といった定型業務以外のスポット業務全体の管理もkintoneを使って行われている。

「会社設立や建設業の許可申請、代表者変更の登記など、スポット業務は多岐にわたっていますが、数日で終わる業務もあれば半年以上追いかけるものも。全員で把握できる環境が整備できたことで、周囲が容易にフォローできるようになっています」と花田氏。

▼スポット業務を管理するアプリ

spottask.jpg

また、顧問先からの専門的な質問への回答を記した事例集をFAQアプリとしてまとめており、有資格者以外のメンバーでも対応できるようになっている。他にも、役員任期管理や許可申請など、納期管理が必要な項目もkintone上で管理しており、15ほどのアプリが構築、運用されている状態だ。

▼顧問先からの質問の回答をまとめたFAQアプリ

faq.png

一部の顧問先にはkintoneを利用して業務日報を登録してもらうなど、請求書を作成する元データを収集する仕組みとしても活用している。「請求業務の代行を請け負っている建設業のお客さまの現場で、kintoneを使ってもらっています。PCのない現場であっても、スマートフォンでその日の作業内容を入力してもらうことが可能となっています」と花田氏。

ガソリン代など必要経費もスマートフォンに手入力し、原本はその場でカメラにて撮影してアップロードしてもらうことで、顧問先の原価管理まで同社にて行うことが可能な基盤になっている。

半日仕事がわずか1時間足らずに、期限管理により信用失墜を防ぐ

顧客情報や業務進捗状況などの情報がkintoneによって統合されたことで、管理を行う花田氏の工数は半分以下になっている状況にあるという。

「申告管理を例に挙げれば、従来は専用の業務ソフトでリストをチェックし、他にも案件について話題になっていないかチャットの履歴も全て見るなど、漏れがないか確認することも含めてトータルで半日ほどは必要です。それが今は1時間足らずで終わらせることができます」と花田氏。

また業務の抜け漏れがなくなり、クレームなどの情報も的確に把握できるようになっている。同時に、申請時期や役員の任期切れなどの期限管理も可能になったことで顧問先との約束がきちんと果たせるようになったことも大きいと花田氏は評価する。

外部とのコミュニケーション基盤としても重宝、業務に必要な情報が簡単に共有できる

進捗管理のアプリ上でサービススタッフとのコミュニケーションが図れるようになったことも見逃せない。「案件ごとに進捗報告が行われており、コメント機能にてフィードバックすることも可能です。業務手順のようなマニュアルもkintone上に用意しており、新たな処理が加わればすぐに追加できます。情報共有およびコミュニケーションの基盤として役立っています」

▼サービススタッフの作業内容にコミュニケーションを紐づけて管理している

ss.jpg

外部に委託する業務には、会計ソフトへの仕訳業務も含まれているが、その場合は仕訳に必要なファイルをkintoneにて共有し、サービススタッフが入力した仕訳ファイルをダウンロードし、再度会計ソフトにインポートするといった流れだ。最終的には業務レコードごとに完了ボタンを押すことで業務完了が報告され、プリントクリエイターを使ってサービススタッフごとの月の作業一覧がPDFで印字できるようになっている。なお、プリントクリエイターは郵送物を発送する際の納付書作成にも利用され、同時にその履歴が郵送記録としても役立っている状況だ。

“これだったら触れる”現場も使いやすさを評価

kintoneについては、自由にカスタマイズが可能で業務に必要なアプリが簡単に作成できる点が魅力の1つだという。「費用はもちろんですが、使いやすさは社員からも“これだったら触れます”と好評です」。プラグインも豊富で、外部との連携も行いやすい点も大きいという。

ただし、これまでは自分たちだけの力でアプリを作成していたために、できることにも限界があった。そこで、さらなる情報の一元管理を目指して外部のディベロッパーへの依頼も視野に検討している状況にあるという。

サイボウズのサポートについては“優しい”と社内でも評判だ。「通常のサポートでは、例えばPCに起因することであれば“それはうちじゃない”と厳しく返されてしまいます。それは仕方のないことですが、サイボウズのサポートセンターは、kintoneとは関係のないことも含めて優しく対応いただけています。社内にシステム専任者がいない分、とても感謝していますと花田氏は評価する。

さらなる一元管理と工数管理による原価の可視化を目指す

今後については、社員の日報や業務処理簿といった別のサービスを使って管理されている業務をkintoneに切り替え、一元管理していきたいと花田氏は意欲を見せる。

「日報などをkintoneで集約し、サービススタッフの作業履歴と合わせることで、顧問先ごとにかかった工数が見えてきます。工数管理ができれば、報酬の交渉材料にもなりますし、社内の業務改善にも役立つはず。今は情報を集めてExcelにて行ってきた工数管理をkintone上で行うようにしたい」

実際には人件費のみならず、外部コストやツールの利用料なども含めて原価管理できるようにしていきたいと花田氏。希望を言えば、全ての業務がkintoneで集約できることを望んでおり、業務基盤としてさらに活用の幅を広げていきたい考えだ。同時に、一部行われている顧問先へのkintone展開も視野に、今後も積極的に活用していきたいと花田氏に語っていただいた。