アミックスコム 様の導入事例

アミックスコム

【業務内容】
テレビ放送やインターネット回線サービスの提供
【利用用途】
案件管理,取引先との工事スケジュール管理
  • kintone導入により年間300時間以上の業務効率化を実現
  • たった1つの秘訣は「60点の完成度で現場に投入すること」

岐阜県恵那市で2005年に創業した株式会社アミックスコムは、創業地である恵那市と輪之内町にテレビ放送やインターネット回線のサービスを提供する光ケーブルテレビ局だ。恵那市と輪之内町の半数以上の世帯はアミックスコムの光回線を契約しておリ、この地域の人たちにとっては欠かせない重要なインフラとしての役割を担っている。
そんなアミックスコムで、営業部サポートチームのチームリーダーを務める安藤満秋氏。一時期はチームの残業と業務負担が増え続け、自身のチームリーダーとしての存在について思い悩んだこともあったという。今回はそんな安藤氏がkintoneに出会い、大きな業務改善を成し遂げ、より強いチームを作り上げることに成功した秘訣について語っていただいた。

昼間は顧客対応、事務処理は定時が近づいた頃からようやく着手…
紙ベースの煩雑な業務に追われ、毎日の残業は当たり前の環境だった

営業部サポートチームのメンバーは5名。主な業務は店頭窓口での受付や、電話サポート、契約にあたっての工事の手配、その他発注から納品、検収、売上管理など営業事務の全般を担っている。前述のとおりチームでカバーしている業務の範囲は非常に幅広いが、昼間は顧客の対応に追われ、事務処理の業務に着手できるのは夕方、ほとんど定時が迫った頃の時間からだった。
また、業務の大半は紙ファイルを使ったものであり、案件の詳細がわかるのは担当者か外注先の工事会社のみという状況で、個々の案件はほとんど属人化しているような状況だった。

株式会社アミックスコム 安藤満秋氏

「当時チーム内では、全員毎月50〜60時間程度は残業が発生していました。それが当たり前になっていたので業務のやり方も含めてあまり疑問視していなかったのですが、上長からは‘‘チームの残業を減らして’'という指示があり、事務処理の業務をもう少し効率化できないかと考え始めました。といっても、その頃はまだシステムの導入という考えは無く、あくまで紙ベースの世界の中で改善をしようとしていたのです」(安藤氏)

しかしそんな安藤氏の気持ちとは裏腹に、キャンペーンで受注が集中するタイミングやルールの変更、メンバーの異動など、イレギュラーなイベントが起きる度にミスが発生するようになった。特に顧客からのクレームにつながるミスは早急に対策を立てる必要があり、チェックリストを増やすなどチームの業務量は膨れ上がって行った。その結果、チームメンバーの残業は減るどころかどんどん増えていったのだという。

「リーダーとして良かれと思って行った対策が結果的にチームメンバーの負担を増やしている現実に、一時は『自分は本当に必要なのか?』と真剣に考えたこともありました。リーダーである自分がいないほうが、チームのためによいのではないか。そんな風に考えてしまうほど、チームの状況は悪化していくばかりでした」(安藤氏)

どん底の状況を救ってくれたkintoneとの運命的な出会い
ゲストスペースの活用により年間310時間の作業時間削減を達成

そんな折、たまたま縁があって安藤氏はサイボウズオフィシャルパートナーであるジョイゾーの四宮琴絵氏と、コラボスタイルの松本洋介氏と出会う。安藤氏が自身の悩みを打ち明けると、ふたりは安藤氏の相談に真摯に向き合い、kintoneを使った業務改善を提案してくれた。

kintoneの世界観を知っていくうちに「自分たちも業務改善ができるかもしれない」という具体的なイメージを持てるようになり、チームにkintoneを導入することを決意した。同社でのkintoneの特徴的な利用方法は、ゲストスペースを使った協力会社との情報共有だ。

カレンダーPlusを使った工事スケジュールの共有

「弊社は、主に3社の取引先工事業者があります。お客様からお申し込みをいただいた後、社内の事務処理をkintoneで行うだけでなく、その先の工事業者とのやり取りも全てkintoneのゲストスペースで行うフローに変えました。工事日時、顧客情報、工事指示を入力できるほか、お客様IDをキーにして宅内に設置するインターネット設備の機器情報も紐づけて管理できるようにしました。また、受注から施工までに起きる出来事は全てコメント欄で細かく情報共有できるようになったため、ミスやクレームも大幅に減らすことができました」(安藤氏)

kintoneの導入から4ヶ月後、その効果は一目瞭然だった。現場では顧客に迷惑をかけるようなミスが減り、同時にクレームも激減。データをkintoneで一元化したことにより、伝言ゲームや転記作業、二重チェック、紙のファイリングといった無駄な作業が無くなり、作業時間がおよそ100時間削減された。また、今までは担当者が1人の責任で案件を管理していたが、それらをチームで管理するようになり「チームワークを発揮して働く」という考え方が生まれた。

「この出来事を皮切りに、チームメンバーもみんな業務改善に前向きになっていきました。メンバーが集まって業務の改善案を付箋に貼り出すミーティングを定期的に行っているのですが、今までは改善案はあってもそれを実施するための方法が見当たらず、課題を挙げるだけ。しかし、このミーティングとkintoneの相性がとても良く、今では課題を挙げたら"じゃあkintoneで改善できるかやってみよう"という風潮ができています」(安藤氏)

成功の秘訣は「60点の状態で今すぐスタートする」こと
あとからどんどん改善していけるのがkintoneの魅力

kintoneの導入により窮地を脱し、大きな改善を成し遂げたアミックスコム。担当者の安藤氏は、自身が感じる最大のポイントについて「kintoneは60点の段階ですぐに始めてみること」だと語る。

「kintone担当者は最初の段階から100点のシステムを作り込みたいと思いがちですが、現場のメンバーにとって今までのやり方を変えろ、新しいシステムを使えと言われること自体デメリットの方が大きいです。だからこそ、導入時は現場メンバーの違和感を最小限に留めることがいちばん重要だと考えます。たとえば、紙やExcelの作業をそのままkintoneに置き換えるだけでも良いのです。これだけでも情報共有が図れるメリットを体感してもらえたので、現場の抵抗感を最小限に抑えることができました」(安藤氏)

はじめは60点の出来栄えでも、現場のメンバーがkintoneを受け入れることが重要だと語る安藤氏。現場のメンバーがkintoneを使い慣れてくる頃には自然と改善のアイデアが出てくるので、その意見を即時反映させて70点、80点とアプリの精度をブラッシュアップしていくことができる。この経験が元になり、現場のメンバーたち自分たちの手で業務改善ができる楽しさを体感できたという。

「我々のチームで使っている、顧客管理アプリというものがあります。このアプリを見ればお客様のあらゆる履歴が関連レコードで参照できるほか、様々な帳票出力や工事手配をワンクリックでできる機能も搭載しています。この顧客管理アプリは、チームメンバーの1人が業務の隙間時間を使って、5ヶ月かけてコツコツと作り上げてくれたものです。60点で始めて、それからみんなで改善していけば良い。このルールがあったからこそ生まれた、大きな変化だと思います」(安藤氏)

アミックスコムでは、営業部サポートチームの改善をきっかけに、他部門でもkintoneの導入が始まっているという。社内の情報をすべてkintoneに移行するという大きなプロジェクトも進行中だ。最初から完璧を目指さなくても良い。チームで改善していけば良い。という考えは、チームメンバーだけでなく多くのkintoneユーザーに大きな気づきと感動を与えただろう。