新規事業の成長を後押しする「kintone」活用
株式会社AmidA様
業務内容:デジタルマーケティング、インターネットメディア事業、ECビジネス企画・運営
利用用途:基幹システムのフロント、ECサイトの分析や効果測定結果の記録、BPO
株式会社AmidA(アミダ)は、2014年9月に誕生したばかりのWebマーケティング会社。1998年創業の株式会社ハンコヤドットコムの親会社として設立され、これまでECサイト運営で蓄積してきた事業ノウハウを、デジタルマーケティング事業に展開すべく新たなスタートを切ったばかりだ。そんな同社では、主力事業のハンコヤドットコムの基幹システムとして「kintone on cybozu.com」(キントーン)を採用し、大きな成果を上げているという。その取り組みについて、マーケティング事業部副部長の大田基樹氏、ICT部 部長代行の川野貴史氏にお話を伺った。
課題
ビジネス環境の変化に素早く対応でき、
規模拡大にも耐えられるシステムを検討
主力事業であるハンコヤドットコムは、年間27万件の出荷実績を持つ日本最大級の印鑑・はんこのオンライン通販ショップ。シャチハタやゴム印をはじめ耐久性にすぐれたチタン印鑑など幅広いラインアップを揃え、98年の創業以降、右肩上がりの安定成長を続けている。そんな同社が新たな事業をスタートするにあたり、既存業務の効率化と、新事業の立ち上げを支えるためのITシステムの整備が急務となっていた。
AmidAで運用されている基幹システムは、MySQL、Oracleデータベースを基盤としたスクラッチ開発のもので、ECサイト経由で受注した印鑑の製造から発送までの業務オペレーション管理に活用されている。ここで課題となっていたのは、システムのスピーディーな機能改善や調整が難しく、社内の業務スタッフが求める要望にも十分対応できない状況に陥っていたことだ。
「既存のシステムは柔軟性には優れているものの、開発のスピード感が犠牲になるという弱点が課題となっていました。加えて、現場スタッフの要望に対応した機能追加も、実際の画面を見ると実は現場が望むものではなかったというギャップが発生することが何度かあったのですが、その場合開発をやり直すという手間とコストがかかります。弊社の今後の事業拡大、さらなるビジネス成長を目指す状況を考えると、変化に対応する柔軟性とスピードの両立、さらに将来を見据えて規模の拡大にも耐えられるシステムが必要と考えました。これらの要件を兼ね備えたシステムが『kintone』だったのです。」(大田氏)
前職でも「kintone」を導入した経験のある大田氏は、「kintone」がAPIやJavaScriptによるカスタマイズ、さらにプラグイン機能などを備え、システム開発基盤としても活用できる点に注目。また、基幹システムのデータを「kintone」につなぐ「DataSpider」を活用することで、基幹システムのフロントインターフェースにも活用でき、柔軟性がありながらもスピーディーに開発を実現できるメリットを評価しての採用となった。
マーケティング事業部副部長
大田 基樹 氏
効果
業務システムの開発プラットフォームとして、
さらに全社の情報管理の基盤にも活用範囲を拡大
「kintone」を中心とした新たなシステム開発は、従来のウォーターフォール型のスクラッチ開発ではなくアジャイル(スクラム)開発を採用して進められた。AmidAではプロトタイプの開発を1週間単位で段階的に積み重ね、順次システムの見直しと改善を加えているところだという。この手法を採用することにより、開発スピードだけでなく、コストの観点からも大きなメリットがあったという。
「スクラム開発は機能を分割して短期間で実装していくので、ウォーターフォール型の開発と比べるとはるかにスピード感を持って開発を進めることができています。従来1年単位で全ての機能を一括でリリースしていたシステムも、リリースできる単位に機能を分割したため、初回は1か月半程度という短期間で本運用をスタートすることができました。また、費用面でもメリットが大きいことを実感しています。これまでは、外部の開発会社にも最初からメンバーとして参加してもらいながら開発を進めていたのですが、リリース可能なものができるまでコストはかかり続ける状態で、エンジニアの人件費は重くのしかかっていました。今は社内メンバーを中心にプロジェクトを進めながら、必要に応じて外部の開発パートナーに協力を依頼する体制が組めており、仕様変更にもすぐ対応できます。従来よりも、はるかに投資対効果が高くなりました。」(大田氏)
このように基幹業務のシステムとしては、かなりの短期間で運用を実現した「kintone」は、AmidAの様々な業務シーンで活用されている。
ECサイトの大幅な業務効率化を実現
大きな成果をあげているのが、ECサイトで受注した製品の業務オペレーションの大幅な効率化だという。AmidAが運営するECサイトに注文が入ると、製造指示書をもとに印鑑などを作成する製造部門を経て、ピッキングや検品などを行う出荷部門に回る。これらのオペレーションを管理するシステムは順次「kintone」に置き換えられており、帳票出力アプリ「OPROARTS(オプロアーツ)」も連携して活用されている。
「例えば、あるスタッフは『kintone』導入により、業務を月30~40時間短縮することができていると聞いています。こういった改善を積み重ねることにより、さらに業務オペレーションが効率化され、我々としてはお客様により価値のあるサービス提供のために時間を使えるようになるので投資価値は大きなものだと感じています。」(川野氏)
ICT部 部長代行
川野 貴史 氏
業務システムとしての活用イメージ図
ECサイトの分析や施策の効果測定結果を記録し、ノウハウを蓄積
新事業のアイディア出しにも
業務オペレーションのほか、企画メンバーの活用頻度も高まっておりアプリも次々と増えている状況だ。中でも事業の根幹を担うECサイトの日々のページビューやKPIなど数値の管理、キャンペーンなどの施策の進捗管理にも活用されている。蓄積されたデータは効果測定にはもちろん、次の施策に向けた分析や改善にも役立てられている。
さらに新規ビジネスのアイディア出しの場としても機能し始めており、現場スタッフのみならず、社長、専務など経営陣も参加しながら新事業についてディスカッションが活発化しているという。
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)への活用で、スムーズな情報共有を実現
さらに、クラウドサービスの特性を生かして、社外事業の一部の作業を委託している中国の取引先との情報共有にも活用しているという。文化や言語の異なる相手とのコミュニケーションも「kintone」で運用するメリットは大きいという。
「依頼する業務や進捗管理を全部『kintone』に集約しています。履歴をしっかり残せるという点はもちろん、個人のやり取りになりがちのEメールと比べて俗人的にならず情報共有できる点も大きなメリットですね。」(大田氏)
今後の展望
このように既存事業の効率化はもちろんのこと、新ビジネスの成長を見据えた幅広い業務に活用されている「kintone」。だが、現段階ではシステムとして完成されているわけではなく、さらなる業務効率向上のため、改善を続けているところだという。
「開発システムとして『kintone』を活用した新たなアイディアは数多く出ており、例えば、納品書などの帳票にプラスアルファの情報提供などを差し込むソリューションなどを検討しています。こういったサービス強化を積み重ね、将来的には事業のプラットフォームとしての活用を目指していきたいですね。」(大田氏)
AmidAの新たな挑戦は始まったばかりだ。
プロジェクトを進めるICT部の林泰寧氏、堺祐輔氏と
会社情報 株式会社AmidA様
本社所在地:大阪府大阪市西区靭本町一丁目13番 1号 ドットコムビル
URL:http://www.amida.co.jp/
株式会社AmidA(アミダ)は、2014年9月に誕生したばかりのWebマーケティング会社。1998年創業の株式会社ハンコヤドットコムの親会社として設立され、これまでECサイト運営で蓄積してきた事業ノウハウを、デジタルマーケティング事業に展開すべく新たなスタートを切ったばかりだ。