
アデコ
- 【業務内容】
- 総合人材サービス事業
- 【利用用途】
- 官公庁・自治体むけ給付金・補助金事業のBPaaS基盤
人材派遣、アウトソーシング、人材紹介、HRコンサルティングなど、総合人材サービス事業を展開するアデコ株式会社では、官公庁・自治体向け案件のなかで、給付金や補助金事業に関連した事務局設置とシステム環境の開発・運用を推進するBPaaS(Business Process as a Service)事業における業務プラットフォームとしてサイボウズのkintoneを活用している。その経緯について、パブリックソリューション事業本部 首都圏東営業部 プロデュース課 課長 岩﨑 愛美氏および同課 シニアプロデューサー 今川 知樹氏にお話を伺った。
世界60を超える国と地域で事業を展開する人材サービスのグローバルリーダーであるAdecco Groupの日本法人として、総合人材サービス事業を展開するアデコ株式会社。人材派遣およびアウトソーシング事業のブランドである「Adecco」をはじめとしたサービスブランドを展開。「人財躍動化」を通じて、社会を変える。をビジョンとして掲げた中期事業計画を現在推進しており、人口減少に直面する日本の生産性を飛躍的に向上させていくべく、人材の躍動化による社会変革を実現する企業を目指している。
そんな同社において、官公庁や自治体など公共の委託事業を手掛けているのがパブリックソリューション事業本部だ。「官公庁・自治体向けのBPO案件が拡大するなかで、2024年1月に専門組織として新たに設置されたのがパブリックソリューション事業本部です」とプロデュース課の岩﨑氏は説明する。プロデュース課では、公共委託事業の企画提案を行っており、多種多様な案件の提案から立ち上げ、安定運営までつなげることが担当領域である。特に人材ソリューションを提供する強みを生かし、ノウハウを持った社員を管理者に据え、事務局設置から受付窓口となるコールセンター運営も含め、官公庁・自治体のニーズに合ったサービスを一気通貫で請け負うことで、より安定した品質の高い運営が可能な環境づくりを支援している。
パブリックソリューション事業本部 首都圏東営業部 プロデュース課 課長 岩﨑 愛美氏
以前から多くの官公庁・自治体に対して窓口業務の受付やそのバックヤード業務などさまざまなBPO案件を請け負ってきた同社だが、コロナ禍前から給付金や補助金に関する事業が増え、従来とは請け負う範囲が様変わりしてきたという。「これまでは事務処理をする事務局と、その業務に必要なシステム開発事業、そして事業に必要な印刷物の印刷及び発送事業は、それぞれ異なる入札案件でした。それが、コロナ禍によって事業の緊急性が高まり、短納期で事業をスタートさせたいという要望が増えてきました。結果として、個別に入札していた3つの事業が、一括した事業として入札案件となるケースが増えてきたのです」と今川氏は当時を振り返る。
パブリックソリューション事業本部 首都圏東営業部 プロデュース課 シニアプロデューサー 今川 知樹氏
特に給付金・補助金の請負に関する入札案件では、迅速な給付が可能となるよう、それまでよりも短い期間で事務局や業務システムの整備が求められるケースが多い。「案件によっては1ヶ月半ほどで業務システム開発含めた事務局設置が必要になるケースもありました。従来のように、オンプレミスでの専用システムでは環境整備に時間がかかり、コストも大きく膨れ上がってしまいます。柔軟に環境整備が可能なクラウド環境で業務基盤を用意しないと、求められるニーズに対応できない状況でした」と今川氏。
そんな業務基盤のプラットフォームとして注目したのが、サイボウズのkintoneだった。「AWSのようなIaaS環境の場合、業務仕様に適した設計ノウハウが必要で、我々が詳細な要件を開発パートナーに提示しないと案件が進みません。また、案件ごとにパッケージを改変してしまうと、バージョン含めて管理が難しくなります。その一方でノーコードツールのkintoneであればある程度できることが判断しやすく、支援いただけるパートナーと会話しながら設計できます。自治体によってはユーザービリティを重視するところもあれば、できるだけ安価かつ短期間に環境を作って欲しいというところもあります。プラットフォームとして柔軟性があり、その都度案件に適したものを作っていくのが市場的にもマッチしていると考えました」と今川氏は語る。コロナ禍の当初と違って、緊急性が薄まってくれば顧客の要望も増えてくることになり、フレキシブルに対応できるものが結果として必要だったと振り返る。
現在は、事務局の設置や業務システムの開発や運用も含めて請け負うBPaaS案件のなかでも、給付金関連の案件を中心にkintoneを活用しており、首都圏での案件を手掛ける首都圏東営業部においては多数の実績がある。他にも、関西含めた別地域での入札に関しても、kinotneを採用した案件が増えている状況にあるという。
事業においてインターネットで申請を受け付ける場合は、入力画面としての「FormBridge」や申請状況の確認のための「kViewer」、メール通知が可能な「kMailer」など各種プラグインが用いられている。帳票出力が必要な場合は「PrintCreator」なども選択されるケースが多い。案件規模としては、利用者数が10名程度のものから100名以上まで、使い方は千差万別だ。
kintoneの認知度という観点からも評価できる点は多いという。最近では自治体内でもkintoneを活用するケースが増えており、自治体担当者にも話が通じやすくなっている状況にあると言及する。「他の部署で使っているという話題が聞こえてくるなど、自治体でもkintoneの広がりを感じます。ネットワークセキュリティ対策として総務省が定めた三層分離におけるLGWAN接続系のネットワーク経由でもkintoneが利用できる環境が整備できるため、自治体案件における親和性の高さを実感しています」と今川氏は評価する。
kintoneアプリやプラグイン・連携サービスを中心としたアデコ社の活用状況
給付金関連の事業が増えてパブリック領域での売上が拡大した結果、新たに事業部が設置された同社にとって、ビジネス拡大の一助としてkintoneが貢献している。「顧客のニーズや課題感に応えることができる選択肢が増えたことで、ご提案できる機会が増えています」と今川氏は力説する。
ビジネスチャンスの拡大はもちろん、運用面での効果も見逃せない。「従来のようにお客さま側で用意した仕組みや専用のパッケージであれば、運用ルールに従わざるを得ず、カスタマイズしたくても難しい状況でしたが、kintoneはノーコードで管理者側で工夫しながら業務の効率化に向けて仕組みがブラッシュアップできます。効率化に取り組む管理者自身の柔軟性も向上するなど、人材育成という面でも大きな効果があります」と今川氏。
案件立ち上げを支援する岩﨑氏の手を離れた後でも、気づけば運営チーム側で独自のアプリが追加されるといったことも少なくないという。「新たなことに取り組むという発想の転換は、研修を行ってもなかなか身につくものではありませんし、環境がないとチャレンジする機会だけでなく、考える機会すらなくなってしまう。きっかけとしてkintoneに触れたことで、案件品質を高める業務効率化のアイデアを考えはじめることにつながるなど、管理者レベルの底上げという大きな効果が得られています」と岩﨑氏は評価する。
もちろん、Excelを駆使しての改善アプローチも可能だが、kintoneであればメンテナンスできないExcelマクロという属人化のリスクも解消できていると好評だ。「kintoneを通じてプロジェクト内で意思疎通できるなど、コミュニケーション基盤としても重宝しています。kintoneに触れるメンバーが増えてくれば引き継ぎしやすいなどメリットも大きい」と岩﨑氏。Excelマクロが組めるといった特定のスキルを持ったメンバー限定でしかアサインできなかった状況から脱却できたことも、大きなメリットの1つに挙げている。
同社のパブリック領域における業務基盤の整備を支援しているのが、公共事業案件でも多くの実績を持つ富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社だ。kintoneでの環境整備が必要となりそうな入札案件があれば、コストや納期などを加味しながらkintoneを用いた提案及び開発支援を行っている。「実現可能かどうかも含めた具体的な方策を相談させていただいています。kintoneの理解度が高いだけでなく、公共案件のノウハウも豊富にあり、フットワークよく支援いただいています。同じ目線でお客さまにサービスを提供いただけることがありがたいです」と岩﨑氏。
特に具体的な手法を率先して提案する姿勢を高く評価しているという。「普段接点のないITベンダーとのやり取りは、当然会話の言語とも異なりますし背景も違いがあるため、コミュニケーションがとても重要になります。そんな状況でも、現場に即したアプローチでプロジェクトをリードしてくれるなど、最初の立ち上がりで転ばぬように手厚く支援いただけて感謝しています」と今川氏は評価する。
現在はパートナーに依頼して業務システムの開発を行っているが、いずれは内製化も視野に入れているという。「現状は時勢に応じて発生する案件でのkintone採用が中心ですが、そこだけの内製化にとどまるのではなく、少人数であっても他のBPO案件の効率化につなげていくようなプロジェクトを現在進めています。その領域でkintoneを活用していくことは十分にあり得ます」と今川氏は期待を寄せている。また運営チームでは、業務をいかに効率化しながら品質を高めていけるかが永遠のテーマだ。「現在はRPAなども駆使しながら、業務効率と品質向上両面で取り組みを進めています。そこにもkintoneを活用することで、より細かな部分にもできることが増えるはず」と岩﨑氏。
最近ではパブリック領域での案件でISMAPを前提としたセキュリティ要件が多く含まれてきている。ISMAPに対応済みなkintoneのさらなるビジネス貢献の期待は高いと岩﨑氏は今後のkintoneの可能性に期待を寄せている。
(2024年10月 取材)
・フォームブリッジ(トヨクモ株式会社)
・プリントクリエイター(トヨクモ株式会社)
・kMailer(トヨクモ株式会社)
※プラグイン・連携サービスはkintoneスタンダードコース以上でご利用いただけます
富士フイルムビジネスイノベーションは、全国のお客様へkintoneの提案・導入・構築・サポートまで一貫したサービスを提供しています。
kintone販売No.1パートナーとして多くのkintone案件に携わった経験から、様々な蓄積されたノウハウを元に、お客様の多様なニーズにお応えして参ります。
またkintone単体サービスだけでなく、複合機やDocuWorksといった文書の電子化や一元管理といったkintone連携ソリューションも用意しており、幅広い業務に対するご提案が可能です。
富士フイルムビジネスイノベーションは、働き方革新やデジタルトランスフォーメーションを支援する商品やサービスの提供を通じ、お客様に最適な提案を実施しています。
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