一般社団法人 FACE to FUKUSHI
- 【業務内容】
- 若手福祉人材の採用・育成支援
- 【利用用途】
- 掲載コンテンツ管理、コミュニケーション管理、企業間やり取り
若手福祉人材の採用・育成支援を行う一般社団法人FACE to FUKUSHIでは、福祉法人の魅力を学生に伝える求人情報サイト『フクシゴト』の運営を2015年より開始。福祉業界の人材難を受け、業務範囲は年々拡大。90社を超える福祉法人との原稿管理・コミュニケーション管理の効率化が急務だったことから、『フクシゴト』はkintoneと連携したWebサイトへリニューアルした。
kintoneを導入した背景や効果について、事務局長の岩本 恭典氏、ロジスティックス担当の近重 有貴氏、導入支援を行ったマーキテクトのマキノ スミヨ氏、H2O spaceの谷口 允氏に実装について伺った。
就職率が低く、離職率が高いという福祉業界の人材難解消を目指し、学生や若手人材に福祉の魅力を伝える事業を行っているFACE to FUKUSHI。求人情報サイト『フクシゴト』の運営だけでなく、フェアやシンポジウムといったリアルイベントの企画・開催、また大学3年生に向けた採用活動のみならず、大学1・2年生への出張講義や、福祉法人へのコンサルティング業務など、業界からの期待は高まる一方であり、業務は日々拡大している。
事務局メンバーのリソースは限られているなか、最大の効果を生むことが期待されていたため、まずは繁忙期に多大なリソースを割かれていた『フクシゴト』への入稿管理の関連業務に着目。採用活動直前の時期に特に集中する業務として、求人原稿の管理フローを見直すことにしたのだ。
ロジスティックス担当の近重 有貴氏は「これまで事務局は、90社を超える福祉法人と、メールに添付したWord原稿や画像ファイルを何度もやり取りし、校了した原稿は事務局でWordPressの管理画面にコピー、公開・・・という作業をしていました。採用活動が解禁となるのは3月からですから、1~2月の限られた期間に、です。」
「どの福祉法人が原稿の公開に向けてどのステータスにあり、何が問題で原稿がストップしているのかは都度メールを辿る必要がありましたし、相手によってはFAXや電話で修正を伝えられる場合もあるため、修正履歴の管理も大変でした。
ただ、WordPressの編集権限を各法人に付与してしまうと、原稿クオリティを担保できないですし、WordPressの作業に慣れていない法人には利用ハードルが高くなってしまいます。
また、慣れておられる法人は字数や写真点数などに制限のない自由なレイアウトにできてしまうことが、広告商品としてはネックだったんです」と語る。
また、FACE to FUKUSHIに対して高まる一方である業界からの期待に対し、どのような戦略を立て、リソースや予算を配分するかの判断には、素早い現状分析が必要だった。
「それまでは、クライアントである法人情報の管理や、会員登録してくれた学生の個人情報の管理にSalesforceを利用していました。申し込みフォームをWordPressで作って、Salesforceに連携させ、インプットした情報をSalesforceで蓄積・分析処理していたんです。
ただ、Salesforceのカスタマイズにはある程度のシステムの知識が求められるので、“誰でもできる業務ではない”と感じていました」と岩本氏は当時の状況を振り返る。
大阪に拠点があるものの、事務局メンバーは福祉法人の元へと北海道から沖縄まで毎日のようにそれぞれが飛び回る。社内の情報共有についても一元化する必要性が高まっていた。
「原稿管理についてさまざまなソリューションを比較検討するなかで、クライアントに直接原稿を入力してもらえるような求人サイト管理のシステムもありました。ただ、利用料が高額だったのと、カスタマイズの自由度が低かったことから、採択には至りませんでした。
別のNPO法人でGaroonやサイボウズOfficeを使っていた経験があり、kintoneが候補に挙がったとき、kintoneであれば社内の情報共有や分析業務の強化も含めて一本化できると思い、kintoneを使ってリニューアルをしようと決めたんです」と岩本氏。
そのためkintoneと連携して、データベースへのインプット、データベースからのアウトプットができるWebサイトのリニューアルという要件を設定し、ディレクターと開発会社を選定。 まず関西のNPOや社会的企業のWebマーケティング支援をしていたマーキテクトのマキノ氏が候補に挙がり、リニューアルでは設計・ディレクション担当を依頼することになった。
「『普段の業務』と『Webサイトの更新業務』とを分断させるのではなく、『普段の業務』を効率化したうえで、データを望む形でWebサイトにそのまま反映することができるkintoneとWordPressの連携は、クライアントが『より価値を生む仕事』に注力できる提案だと思っています。 今回はkintoneをベースにする前提の開発だったので、ぜひ、とお引き受けしました」と語る。
そして開発はマキノ氏の紹介で、kintoneからWebhookを利用してWordPressに連携するWebサイトの開発経験があるH2O spaceが担当することになった。 開発担当のH2O space代表の谷口氏は、広告商品である『フクシゴト』に、どのように各法人が原稿を入力し、事務局が承認・公開していくのかという設計、カスタマイズに知恵を絞ったという。
「当初、求人を出したい福祉法人用の原稿入力画面を別途構築し、各福祉法人が原稿を入力するとkintoneに格納されていき、それがWebサイトにパブリッシュされて表示される…という方法も検討していました。」
ところが、イベント情報のように各法人でレコードを自由に増やしてよいコンテンツと、法人概要のようにレコードを増やしてはいけないコンテンツが混在していたうえに、事務局で承認機能も持たせたいといった要件があり、さらに開発期間も限られていました。
そのため、kintoneのゲストユーザーアカウントを各福祉法人に発行し、各アプリにおいて互いのデータを閲覧・編集できないようにしつつ、レコードの数を制限するアプリと制限しないアプリを持たせ、kintoneに直接原稿を入力していただく方式を採用しました。
原稿内容をサイトに公開する実際の流れ
kintone&WordPress連携の仕組み
kintoneに入力された内容は、
プロセス管理機能を利用して、事務局が「承認・公開」手続きを行います。
簡単な設定をすれば、kintoneは外部のサーバーに更新情報を送信することもできるので、その設定によって、kintone側で「承認・公開」手続きをすれば、フクシゴトのWebサーバー上のWordPressに更新されたデータが送信されます。
更新データを受信したWordPressは、H2O spaceが開発したプラグインによってWordPress内に記事データが取り込まれ、Webサイトに掲載されるのです。
この間、公開手続きをしてから数秒以内には処理が完了します。
また、kintoneに添付した画像もWordPress内に取り込むことができます。
情報の変更や削除、非公開への変更手続きの場合も、WordPress上のデータが自動的に更新されるため、WordPressの管理画面にログインすることなく、常に情報が最新の状態に保たれます。
(谷口氏)
このやり方について、結果的には非常によかったと近重氏は語る。
「各アプリに入力いただいた原稿に対し、事務局が『フィールドのこの部分を修正してください』といった内容をアプリ上で各福祉法人にフィードバックできるので、毎回メールを開いて、ご挨拶を書いて、『このコンテンツのこの文章箇所が…』とご連絡する必要もなく、サクサクとフィードバックをお伝えすることができました。
kintoneはデータベースの機能を持ちながらコミュニケーション機能を持っているので、やりとりの履歴も追いやすく、たいへん助かっています」
各原稿に紐づくやり取りの履歴
これまでは法人の求人原稿がFIXした後、事務局でその原稿をWordPressにコピーしていく作業が発生していた。広告商品なので作業ミスは許されず、気を遣う作業の割にスピードも求められる。さらにリリース後も法人から追加・修正の希望をいただくと、出張中であっても迅速に対応しなければならなかった。当時は約30社分が作業の限界だったと言うが、今回のリニューアルを機に約90社の原稿を管理できているという。
「原稿FIXしたあとの作業からはいっさい解放されました。入稿後の微細な文字訂正・追加やイベント情報の追加などもクライアント側でしていただけるので、そこにかかっていたパワーは0になりましたね」と近重氏は話す。
繁忙期の原稿管理の課題がひとつ解決したところで、岩本氏は今後の展望について語る。
「限られた事務局の人数で福祉の人材課題を解決していくには、スピーディな現状分析と戦略立案が必要です。今後はさらに、『フクシゴト』に掲載した法人へのエントリー状況などのインプット情報をkintoneで分析するということに力を入れて行きたいと思っています」
「また、全国各地の福祉法人とは、各地のフェアなど、地域の課題に合わせた企画をともに作っていく関係です。福祉法人とのコミュニケーションも、メールや他のツールでバラバラにやり取りしていた状態を案件ごとにkintoneで一元管理して、社内も含め、情報共有もさらにスムーズにしていきたいと思っています」
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